著者
鎌田泰毅 竹内 義則 松本 哲也 工藤 博章 大西昇
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012-CVIM-181, no.16, pp.1-8, 2012-03-08

卓球競技では,ボールの回転はボールの軌道やボールのインパクト後の反射角に大きな影響を与えるため,非常に重要な要素である.そこで我々は,卓球ボールの回転軸・回転数を自動で定量的に評価することを目的とし,高速度カメラ画像を入力とした回転推定システムを考案する.提案したシステムは,ボールの検出モジュールと回転推定モジュールの2つに大きく分けられる.ボールの検出モジュールでは,ソーベルフィルタを利用して得られたエッジ点に対して,円に対するHough変換を利用することで,ボールの候補となり得るエッジ点を探索する.その後,探索された円内の輝度値や中心点座標の軌跡情報を利用して,ボール候補の絞り込み検出を行う.回転推定モジュールは,ICPアルゴリズムを利用して隣接フレーム間の対応点を探索し,変換座標を特異値分解を利用して導出する.3DCGアニメーションに対して実験を行い,本システムの精度を測定した.回転軸の精度は平均誤差が約3°であり,選手に提示するのに十分な精度であった.回転数の精度は平均誤差が約6%であり,目視で計測したときの誤差3%には及ばなかった.練習を対象とした実測実験では,回転数の精度は誤差約6%であった.