著者
鎌野 倫加
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.1051-1056, 2012 (Released:2012-08-28)

東日本大震災は、2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した大津波及びその後に続いている余震により、引き起こされた大規模災害である。災害医療では、災害時に限られた医療資源 (医療従事者、薬品など) の中で、いかに多くの傷病者の命を救うかが求められる。そのため、傷病者の緊急度や重症度を考慮し、治療や搬送の優先順位に従い、搬送や治療を行うが、災害医療や看護の活動をしている医療従事者の殆どは救急医療や看護を日常業務から行っている。災害サイクルの経過により医療ニーズも変化し、災害医療に関わる医療従事者だけではなく、多職種による支援が被災地には必要である。災害支援には、多視角からの多職種によるアプローチが重要であり、東日本大震災の経験から災害時の栄養管理を考えると、災害サイクルに応じた栄養指導、栄養管理をすることが慢性疾患の悪化を防ぎ、合併症の予防につながると考えた。その中で、地域医療や在宅NSTの存在の大切さを感じた。今回は栄養管理に焦点を当て、平成23年4月30日~5月15日まで、宮城県気仙沼市で災害支援活動を行った時のことを交えながら災害時に栄養管理が必要とされることを述べたい。