著者
竹内 妙子 長井 雄治
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.20, pp.71-78, 1979 (Released:2011-03-05)

1. 1975,'76年に千葉県各地の施設栽培のトマト,キュウリ,ナスなどにベノミルおよびチオファネートメチルに耐性を示す灰色かび病菌が高率に確認された。2. 耐性菌の発生はベノミル剤およびチオファネートメチル剤の散布回数と密接な関係があり,散布回数がおおいほど高率に耐性菌が出現し,使用回数の少ないハウスでは耐性菌は低率であるかまたは確認されなかった。3. 耐性菌と感性菌の混発ハウスでは,両者はハウス内に不規則に分散し,また,1病斑上に耐性菌と感性菌が混在している可能性もみられた。4. 耐性菌に対する有効薬剤としては,薬片法によると,アイプロデオン剤,プロシミドン剤は予防効果,治療効果ともすぐれていた。スルフェン酸系剤は予防効果はかなり認められたが,治療効果は全く認められなかった。ポリオキシン剤,治療効果ともかなり認められたがTPN剤は効果不十分であった。5. 圃場における耐性菌の薬剤効果については,耐性菌の占める割合によって多少異なるが,いずれの場合もアイプロデオン剤,プロシミドン剤はすぐれた防除効果が認められ,スルフェン酸系剤も有効であった。ベノミル剤およびチオファネートメチル剤は耐性菌率の低い圃場では効果が認められたが,耐性菌が高率に発生している圃場ではほとんど効果は認められなかった。
著者
竹内 妙子 長井 雄治
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.22, pp.29-36, 1981 (Released:2011-03-05)

チオファネートメチル耐性菌の発生推移を調査し,その対策試験を行った。1. トマト幼果上に耐性菌と感性菌を同時に接種して継代培養すると,薬剤を散布しない場合は耐性菌率はわずかに低下したが,チオファネートメチル剤を散布すると耐性菌率は急激に増加した。一方,スルフェン酸系剤を散布すると耐性菌率は無散布区よりも速やかに低下した。2. 同一作型内で耐性菌の発生推移と散布薬剤との関係をみたところ,散布前,耐性菌率が低い場合も,チオファネートメチル剤又はべノミル剤を散布すると耐性菌率は急激に増加した。一方,両剤を使用しない場合は耐性菌率は概して低下する傾向がうかがえた。3. 同一のハウスで数年間にわたって耐性菌の発生推移を調査したところ,前年の耐性菌率は翌年に保持されず,概して低下した。4. 耐性菌発生圃場におけるチオファネートメチル剤の効果を検討したところ,耐性菌率が低率のハウスでもチオファネートメチル剤を数回散布すると耐性菌率は急激に増加し,十分な防除効果は認められなかった。5. 耐性菌発生圃場において,ポリオキシン剤とスルフェン酸系剤の交互散布は有効であった。