著者
土岐 知久
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.19, pp.p9-24, 1978-03

土壌病害虫に複合抵抗性である,帰化刷物のアレチウリを,ウリ科果菜の台木として利用した場合の栽培上の特性を検討した。1.アレチウリはキュウリとスイカにつぎ木親和性であるが,シロウリとメロンには不親和であった。2. アレチウリ台木のキュウリは,低温期を経過する作型ほど生育を増進し,増収する。高温期を経過する作型では,慣行のカボチャ台木と同等であり,周年栽培が可能である。3. アレチウリ台木のキュウリの養分吸収量は,慣行のカボチャ台木にくらべ,各要素とも明らかに多かった。4. アレチウリ台木のキュウリの肥料反応はカボチャ台木のように敏感ではなく,元肥の施用量を20%節減しでも生育は変わらなかった。5. アレチウリ台木のキュウリの夜温管理は,カボチャ台木にくらべ,2~3℃下げることができた。6. アレチウリ台木のキュウリの細胞液の浸透圧は,カボチャ台木にくらべ,明らかに高く耐寒性も強かった。7. アレチウリは耐病性やつぎ木親和性などの台木特性に採種地間差があり,誉田系統がすぐれていた。
著者
土岐 知久
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.19, pp.p9-24, 1978-03

土壌病害虫に複合抵抗性である,帰化刷物のアレチウリを,ウリ科果菜の台木として利用した場合の栽培上の特性を検討した。1.アレチウリはキュウリとスイカにつぎ木親和性であるが,シロウリとメロンには不親和であった。2. アレチウリ台木のキュウリは,低温期を経過する作型ほど生育を増進し,増収する。高温期を経過する作型では,慣行のカボチャ台木と同等であり,周年栽培が可能である。3. アレチウリ台木のキュウリの養分吸収量は,慣行のカボチャ台木にくらべ,各要素とも明らかに多かった。4. アレチウリ台木のキュウリの肥料反応はカボチャ台木のように敏感ではなく,元肥の施用量を20%節減しでも生育は変わらなかった。5. アレチウリ台木のキュウリの夜温管理は,カボチャ台木にくらべ,2~3℃下げることができた。6. アレチウリ台木のキュウリの細胞液の浸透圧は,カボチャ台木にくらべ,明らかに高く耐寒性も強かった。7. アレチウリは耐病性やつぎ木親和性などの台木特性に採種地間差があり,誉田系統がすぐれていた。
著者
川上 敬志 青木 宏史 土岐 知久
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.31, pp.p55-72, 1990-03
被引用文献数
1

イチゴの夜冷育苗において,処理温度,品種と処理期間,処理開始時の苗の大きさおよび体内N濃度などが花芽分化および収量様相にどのような影響を及ぼすかを検討した。1. 9月初旬から夜冷処理を開始する場合,花芽分化の誘起には10℃一定で処理するのが最も有効であった。2. 夜冷処理により花芽分化に要する日数は,高温期(8月)では長く,日長が短く,また気温が低下してきた9月初旬からの処理では短くなった。また,所要日数は品種本来の花芽分化期の早晩性と対応し,夜冷処理の時期にかかわらず早生品種ほど短縮された。3. 1シーズン2回施設を利用する場合,前期処理(第1回目)の年内収量は著しく増加したが大玉果が少なく,3~4月の後半収量は少なかった。一方,後期処理(第2回目)では大玉割合が高まり,全期収量も多かった。4. 夜冷育苗では,処理開始時の苗の大きさによる花芽分化期の早晩,開花期における生育量,頂花房の開花数および収量などの差はほとんどなく,むしろT/R率の影響が大きかった。処理終了時のT/R率が同程度であれば,大苗ほど定植後の生育および初期収量が優った。5. 夜冷培地への施肥は,苗の生育促進に対してほとんど効果はなかった。しかし,苗の体内N濃度はやや高まり,開花期もやや早まった。また,夜冷処理開始前の苗の体内N濃度は,高いほど花芽の発育段階が進んでおり,早期収量も多かった。したがって,夜冷育苗では処理開始前の窒素吸収抑制手段は不必要であり,処理期間中は根傷みを起こさない程度の施肥は有効である。
著者
栗原 大二
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.42, pp.55-60, 2001-03

1998年、千葉県農業試験場により開催された地域住民向け交流イベント(ふれあいデー)参加者アンケートの分析結果から、以下の点が明らかになった。 (1)参加者の同イベントに対する満足度はおしなべて高かった。 (2)参加者の農業試験場に対する意識は、次の2つのセグメントに大別された。 (1)「教養・生きがいセグメント」 (50歳代以上の熟年夫婦層が典型的) (2)「実益・教育セグメント」 (30~40歳代世帯主のファミリー層中心) 今後のイベント企画立案においては、この2セグメントを考慮した資源配分の検討が合理的であり、試験場が地域住民との共生を図るうえでの戦略的思考のベースともなりうる。
著者
竹内 妙子 長井 雄治
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.20, pp.71-78, 1979 (Released:2011-03-05)

1. 1975,'76年に千葉県各地の施設栽培のトマト,キュウリ,ナスなどにベノミルおよびチオファネートメチルに耐性を示す灰色かび病菌が高率に確認された。2. 耐性菌の発生はベノミル剤およびチオファネートメチル剤の散布回数と密接な関係があり,散布回数がおおいほど高率に耐性菌が出現し,使用回数の少ないハウスでは耐性菌は低率であるかまたは確認されなかった。3. 耐性菌と感性菌の混発ハウスでは,両者はハウス内に不規則に分散し,また,1病斑上に耐性菌と感性菌が混在している可能性もみられた。4. 耐性菌に対する有効薬剤としては,薬片法によると,アイプロデオン剤,プロシミドン剤は予防効果,治療効果ともすぐれていた。スルフェン酸系剤は予防効果はかなり認められたが,治療効果は全く認められなかった。ポリオキシン剤,治療効果ともかなり認められたがTPN剤は効果不十分であった。5. 圃場における耐性菌の薬剤効果については,耐性菌の占める割合によって多少異なるが,いずれの場合もアイプロデオン剤,プロシミドン剤はすぐれた防除効果が認められ,スルフェン酸系剤も有効であった。ベノミル剤およびチオファネートメチル剤は耐性菌率の低い圃場では効果が認められたが,耐性菌が高率に発生している圃場ではほとんど効果は認められなかった。
著者
竹内 妙子 長井 雄治
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.22, pp.29-36, 1981 (Released:2011-03-05)

チオファネートメチル耐性菌の発生推移を調査し,その対策試験を行った。1. トマト幼果上に耐性菌と感性菌を同時に接種して継代培養すると,薬剤を散布しない場合は耐性菌率はわずかに低下したが,チオファネートメチル剤を散布すると耐性菌率は急激に増加した。一方,スルフェン酸系剤を散布すると耐性菌率は無散布区よりも速やかに低下した。2. 同一作型内で耐性菌の発生推移と散布薬剤との関係をみたところ,散布前,耐性菌率が低い場合も,チオファネートメチル剤又はべノミル剤を散布すると耐性菌率は急激に増加した。一方,両剤を使用しない場合は耐性菌率は概して低下する傾向がうかがえた。3. 同一のハウスで数年間にわたって耐性菌の発生推移を調査したところ,前年の耐性菌率は翌年に保持されず,概して低下した。4. 耐性菌発生圃場におけるチオファネートメチル剤の効果を検討したところ,耐性菌率が低率のハウスでもチオファネートメチル剤を数回散布すると耐性菌率は急激に増加し,十分な防除効果は認められなかった。5. 耐性菌発生圃場において,ポリオキシン剤とスルフェン酸系剤の交互散布は有効であった。
著者
丸 諭
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.30, pp.p91-98, 1989-03

1. 実態調査の結果,継続的にパラコートを使用してきた農家圃場では1~数ppm,特に多用していた圃場では10~50ppmの残留濃度に達していた。ジクワットは従来の使用頻度が低かったので,現在の土壌残留濃度はパラコートより低いが,今後継続的に使用されれば,近い将来にはパラコートと同様の状況になると思われた。2. 土壌処理したパラコートの減少は遅く,火山灰壌質土の果樹園では,半減期は2年以上と推定された。これに対し,ジクワットの半減期はパラコートより短く,約半年となり,実態調査結果とは適合しなかった。3. 土壌にパラコート,ジクワットおよび両者の混合剤を添加して小麦を栽培したところ,各除草剤とも,火山灰壌質土は210ppm,海成砂質土は360ppm,河成壌粘質土は1410ppm,第三系粘質土は1390ppm以上の添加区で薬害が発現した。4. 土壌からのパラコート,ジクワットの溶出率は,10.5M硝酸アンモニウムによるものが最も高く,5M塩化アンモニウムがこれについだ。土壌の種類別では火山灰壌質土,海成砂質土からの溶出率が高く,河成壌粘質土,第三系粘質土が低かった。また,パラコートに比べジクワットの溶出率が高く,土壌中の両除草剤の濃度が高いほど溶出率も高かった。5. 土壌からの5M塩化アンモニウムによるパラコート,ジクワットの溶出濃度と小麦の生育の関係は,一定の曲線を示した。このことから,土壌中の両除草剤の残留濃度とは別に,簡易な溶出法による診断によって,薬害の未然予測の可能性が示された。
著者
青木 宏史 岸 国平 山川 邦夫
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.20, pp.p79-88, 1979-03

1. トマトの斑点病抵抗性育種を行うために,基本的に必要な胞子の大量獲得技術を人工培養基を使用して,輪紋病と比較し乍ら検討した。2.人工培地の種類と胞子形成の関係は斑点病にはトマトジュース寒天,V-8ジュース寒天,ジャガイモ煎汁寒天で胞子形成が少量みられ,乾アンズ寒天,トマト茎葉煎汁寒天では全くみられなかった。輪紋病は各培地で胞子形成がみられたが,V-8ジュース寒天はとくに多く,トマト茎葉煎汁寒天,乾アンズ寒天は少なかった。3. BL-B光源下での胞子形成は輪紋病では光源に近いほど多く,とくに15cmで多かった。斑点病は同様な傾向は認められるものの明らかでなかった。4. 被覆材質と胞子形成は,輪紋病ではプラスチックが最も多く,軟質および硬質ガラスでもかなり多かった。斑点病は硬質ガラスおよびプラスチックで胞子形成がみられたが少なく,実用性は低かった。5. 斑点病の胞子形成と温度との関係は20~25℃で胞子形成が盛んであり,昼夜温の変温の効果はなかった。6. 斑点病の胞子形成と光質の関係は自然光およびPlant-Luxが有効であり,実用的な多量の胞子形成がみられた。さらに,単色光照射により適波長域をみると675nm附近で胞子形成が最も多かった。7. 斑点病の胞子形成と湿度の関係は湿度が低いほど好適であり,とくに空中湿度を低下させることが実用上効果的であった。8. 斑点病の胞子形成を促進するためには気中菌糸の除去および培地の切断が有効であった。9. 以上の条件を総合して各菌の胞子形成に好適な条件は輪紋病にはBL-B光源,V-8ジュース寒天培地,高湿が適し,斑点病には自然光,V-8ジュース寒天培地,低湿条件の組合わせが有効であった。培養温度は20~25℃が各々に適していた。10. 人工培養して得られた斑点病菌はトマト品種の抵抗性検定に十分な病原性を示し,実用上有効であった。
著者
松丸 恒夫
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.32, pp.p43-54, 1991-03

千葉県における光化学オキシダントによる農作物可視被害の発生実態を把握する目的で,1973年から毎年7月下旬に指標植物を用いた現地調査を実施した。本報告では1989年までの調査結果をとりまとめた。1973年と1974年の各種農作物の被害調査から,県内で広く栽培され,オキシダント感受性の高いサトイモとラッカセイの2作物を指標植物として選定した。サトイモのオキシダント被害分布および被害の発生程度は年によって異なるものの,地域間差が明確であった。すなわち,東葛飾地域,印旛地域の県北西部と君津地域で甚だしい被害が発生しやすく,海匝地域と安房地域では被害の発生が少ない傾向が認められた。サトイモのオキシダント被害程度の年次間差をみると,1983年と1987年の被害が甚だしく,1978年と1989年の被害が軽かった。被害の発生と関係が深いと考えられる6~7月の光化学スモッグ注意報発令日数とサトイモの平均被害面積率との間に正の相関関係がみられ,サトイモの被害程度は各年次のオキシダント汚染程度を反映していることが認められた。
著者
安西 徹郎 松本 直治
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.29, pp.93-104, 1988 (Released:2011-03-05)

時系列的に選定した38地点の休耕田の雑草の発生状況を調査し,あわせて休耕が土壌の理化学性に及ぼす影響を検討した。その結果は以下のとおりであった。1. 休耕田の雑草は沖積低地で1~4年でノビエ,ミズガヤツリなどの水田雑草が優占するが,2~3年でガマ,ヨシ,セイタカアワダチソウなどの大型多年生雑草が侵入し始め,5~10年で優占化した。山間谷津でも3~5年で大型多年生雑草がみられ,さらに山野草が繁茂した。2. 雑草の重量は休耕3年で38~74kg/aであり,この時点で稲ワラ全量還元を上回る集積量がみられた地点があった。3. 休耕田の土壌は水稲連作田に比べて湿田方向にある場合が多く,こうした変化は3年以降に認められた。4. 土壌の固相率,ち密度および透水性は土壌の乾湿状態をよく表しており,湿田方向にある地点では固相率が減少し,ち密度および透水性が低下した。5. 作土の全炭素,全窒素,交換性カリウム含量は休耕年数が増すにつれて概ね直線的に増加した。可給態窒素含量も5年までは概ね直線的に増加したが,その後は増加量が低下し,ほぼ一定量で経過した。6. 土壌の無機態窒素生成量は有機物集積層では高かったが,その直下層では水稲連作田と同等かそれ以下であった。このように土壌の化学性に対する休耕の影響は表層部に限られた。7. 休耕後の雑草の発生状況および土壌の変化からみて,放任状態の休耕田における休耕年数は3年を限度とすべきである。
著者
小山 豊 山岸 淳 宍倉 豊光 深山 政治 武市 義雄
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.27, pp.169-183, 1986 (Released:2011-03-05)

オモダカの防除法確立のため,その生態的特性について検討を行った。1. 出芽特性 (1)塊茎には休眠性があり,休眠覚醒に対しては0℃の低温処理及び包皮除去処理の効果が認められた。(2)塊茎からの出芽深度は塊茎の大小により異なり,土中深い位置からの出芽歩合は塊茎が小さいほど低下した。1g以上の大きい塊茎は地表下20cmの深い層からも容易に出芽した。(3)土壌の還元程度が塊茎からの出芽に及ぼす影響は同じオモダカ科の中でも異なり,ウリカワに比べてオモダカは土壌の還元に対する適応力が大きかった。(4)塊茎は土壌水分が最大容水量の80%(対乾土60%)以上で出芽した。また,湛水深が15cmと深くても出芽は劣らず,水生雑草の特徴をよくあらわしている。2. 生育特性 (1)稲わらを施用した強還元条件でも生育はほとんど劣らず,塊茎形成量はかえって多くなった。(2)遮光処理により草丈,葉面積は大となったが,地上部乾物重は低下した。(3)本県産のオモダカには3種の種内変異が認められ,各々外観,出芽時期,塊茎形成量が異なった。(4)親塊茎の大小により生育及び塊茎形成量が異なった。生体重1gと2gとの間では明らかな差は認められなかったが,0.5g以下の小塊茎は他に比べ地上部生育量,塊茎形成量ともに少なかった。3. 塊茎形成に関する諸要因 (1)塊茎形成に入る時期の地上部の生育状態により塊茎形成数及び塊茎の大小,土中分布は著しく異なった。すなわち,地上部の生育量が大であるほど塊茎形成数,一個当り塊茎重量は大となり,形成される塊茎の土中分布も広い範囲にわたった。最高値は,塊茎形成数で180個/株,一個当り重量で1.7g,形成範囲は地表下30cmまで,水平距離で50cmまでであった。また,塊茎の重量は形成される深さが深いほど,株からの水平距離が遠いほど重くなった。(2)塊茎形成は短日処理により促進された。(3)遮光処理の時期・程度にかかわらず自然条件に比べ塊茎形成数が多くなり,ミズガヤツリ,クログワイと異なった反応を示した。
著者
青木 宏史
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.22, pp.p37-43, 1981-03

1. トマトの褐色根腐病抵抗性台木を育成するため,野生種トマトLycopersicon hirsutumを導入し,国内産栽培種Lycopersicon escul entumとの種間雑種を育成し,耐病虫性および生態特性を調査した。2. 育成台木の耐病虫性は褐色根腐病,萎ちょう病,TMV,ネコブセンチュウともに優性的に遺伝することが認められ,実用的な抵抗性が確認され市販台木と同等であった。3. 育成台木は市販台木に比較し種子が大きく発芽勢がすぐれた。初期生育も旺盛で接ぎ木苗の獲保が容易であった。4. F1トマト台木の生育は育成台木がいずれも市販台木にまさった。接ぎ木栽培では市販台木と同等の生育を示した。5. 台木トマトの低温伸長性は大きく夜温3℃でも生育し台木間差はあまりなかった。高温時に発生する葉枯症は市販台木にのみ多く育成台木には発生しなかった。6. 接ぎ木トマトの収量および品質は育成台木,市販台木ともに同等のものが多かった。7. 以上から,当場で育成した褐色根腐病ほかに抵抗性の種間雑種台木は実用性がかなり高いと思われ,とくに育成4号,5号および6号が有望と思われた。
著者
竹内 妙子 福田 寛
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.34, pp.85-90, 1993 (Released:2011-03-05)

トマト青枯病,褐色根腐病およびサツマイモネコブセンチュウに対する熱水土壌消毒の防除効果を明らかにした。病原菌およびセンチュウの耐熱性を調べたところ,トマト茎内の青枯病菌は50℃3時間,55℃30分で死滅した。トマト根部の褐色根腐病菌は45℃30分,50℃5分で死滅した。サツマイモネコブセンチュウ第2期幼虫は45℃4時間,55℃15分で死滅した。山武郡九十九里町のビニールハウス(海成砂質土)で熱水土壌消毒を行ったところ,地温は深さ20cmで60℃,40cmで45℃まで上昇した。青枯病の初期の発生は臭化メチル30kg/10a区に比べて少なかったが,やがて激発した。農業試験場内のガラス室(火山灰土)では地温は深さ20cmで60℃,40cmでは35℃となった。褐色根腐病およびサツマイモネコブセンチュウに対する防除効果は高く,生育,収量は無処理区に優った。しかし,栽培末期には両病害虫による被害が認められた。
著者
草川 知行 平舘 俊太郎 藤井 義晴 高崎 強
出版者
千葉県農業試験場
巻号頁・発行日
no.41, pp.29-34, 2000 (Released:2011-03-05)

カラシナから発生するAITCを利用して雑草防除を行うため,レタスおよび雑草種子の発芽抑制効果を明らかにした。1. 土壌50mLあたり濃度50mg/LのAITC水溶液20mL添加でレタスの発芽が抑制された。2. 土壌50mLあたりカラシナ生葉1g以上の混和量でレタスの発芽が抑制された。このときのAITC濃度は摩砕した生葉1gで24時間後に0.65mg/Lでピークとなった。40℃ではこれよりピークが早く現れ,高濃度が長時間維持された。3. アオビユでは,レタスと同程度の発芽抑制効果が認められたが,イヌビエでは十分な効果が得られなかった。
著者
永江 弘康
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 = Bulletin of the Chiba-Ken Agricultural Experiment Station (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.27, pp.121-139, 1986-03 (Released:2011-03-05)

梨需要の急増,労働集約的な新品種の導入にともなう経営構造,技術構造の再編方向を,新しい部分技術の格付け,適期作業の遂行,収穫期間の前進・拡大等の3つの視点によって明らかにした。1. 戦後40年の千葉県の梨生産は,復興・作付拡大期(昭和41年以前),維持・安定期(昭和42年~53年頃),品種更新期(昭和54年以後)の3期に分かれる。42~53年の単収(10a当たり収量)は平均3197.9kg,標準偏差221.6kgできわめて安定していた。2. 新品種,新技術の導入は,家族労働力,経営耕地面積,梨園面積,それまでの品種構成,品種別の団地集積等との関係が大きい。生産力・品質等級実績・新品種導入実績等により発展地区30戸,停滞地区24戸(いずれも一つの生産組織)を対象にして調査し,分析した。1戸当たり梨園面積は両地区平均84~90a,家族労働力3人。品種構成比は,発展地区では「幸水」4,「豊水」2,「長十郎」1,「二十世紀」3であり,停滞地区の中規模以下では同じく3:2:3:2(「二十世紀」ではなく「新高」)であり,停滞地区の大規模梨作では「幸水」5,「豊水」3,「新高」2である。3. 「二十世紀」を保有する発展地区では労働集約的な新品種「幸水」の適期作業(とくに摘蕾,摘果)に対応できるが,労働粗放的な品種しか保有していない停滞地区では作業の遅れがある。このことが収量に影響する。発展地区の「幸水」10年生単収は2162kg(最高2,717kg),停滞地区では1884kg(最高2200kg)である。4. 高収量,高品質を新品種において実現する場合には,作業規模,作業者,時間標準,作業の格付け・序列,作業回数を確認し,季節性と作業開始時間を重視することが必要である。これを実現できる適正な品種構成は,労働力2.5人で,「幸水」35a(27%),「豊水」35a(27%),「長十郎」「新高」60a(46%)計130aになるであろう。5. 新品種「幸水」育成価は所期の収量を実現できるか否かによって異なる。大苗利用・標準収量(発展地区)の場合にはわずか2年で成園となるが,低収量(停滞地区)・低価格の場合には15年以上を要する。したがって新品種,新技術の導入に際して梨作経営の6割以上が「増収・品質向上」「基本技術の習得」が必要であると認識している。
著者
桑田 主税 成川 昇
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.42, pp.23-30, 2001-03

難抽台性の坊主不知ネギにおいて効率的に交雑育種を行うために、低温短日処理および肥料切り処理が坊主不知ネギの抽台誘起に及ぼす影響について検討した。低温処理は10.5cmポットに鉢上げした株を日長8時間で温度制御した人工気象室に処理温度、期間、時期を変えて搬入し、また、肥料切り処理は鉢土の肥料の有無により実施した。 1.最も抽台が促進された条件は、供試3系統ともに温度較差の激しい明期25℃/暗期2℃区であり、抽台株率は最高で「夏婦人」が80%、「向小金」が47%、「藤心晩生」が53%となった。 2.「向小金」は、同一の温度処理下において肥料切りにより抽台株率は高まり、肥料感受性が高い系統であった。 3.明期5℃/暗期0℃および明期8℃/暗期2℃の極端な低温や120日間の長期間の低温処理では、抽台は促進されず、坊主不知ネギの花成には極端な低温を要求しないことが示された。
著者
宇田川 雄二
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-7, 1997-03

ハーブ類の生育,無機成分,並びに香気成分に及ぼす培養液温度(15~25℃の3水準)の影響を培養液濃度を2.4dS/mで検討した。1. チャービル,タイムの根重は高温ほど大きかったが,チャービル,タイム,ディル,イタリアンパセリ,セイジの茎葉重および収量は20℃で最大となり,生育好適培養液温度は20℃前後であった。スィートバジルのそれは25℃であった。2. チャービル,ディル,タイムの茎葉,並びに根のP含有率や株当たりのP含有量は低液温ほど高かったが,他の無機成分は種類によって培養液温度に対する反応が異なった。しかし,含有比率は培養液温度による差異よりも,種類による差異が大きかった。3. ディルの茎葉の精油含有率,並びに含有量は20℃区で最も高かった。タイムの茎葉の精油含有率は,25℃区が最も高かったが,含有量は20℃区が最も高かった。