著者
長沼 誠 藤井 俊光 長堀 正和 渡辺 守
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.388-400, 2011 (Released:2011-03-07)
参考文献数
91

クローン病の治療には栄養療法と薬物療法があるが,抗体製剤の登場によりクローン病の治療法や治療目標,長期予後などが大きく変わってきている.6-MP,AZAを中心とした免疫調節薬は抗体製剤が登場する前より難治例を中心に使用されており,特にステロイド依存例のステロイド減量や寛解維持に有用な薬剤である.長期予後の観点からみて6-MP,AZAは腸管粘膜治癒効果,術後の再燃防止効果を有するが,抗体製剤と比べその効果は限定的である.免疫調節薬を早期に使用することにより長期予後が改善される可能性も考えられるが,骨髄抑制,感染症,さらには最近注目されているリンパ腫発生の可能性を考慮し,有用性と副作用のバランスを考えながら使用することが大切である.