著者
長富 一暁
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.102-114, 2010 (Released:2017-05-08)
参考文献数
43

イギリスでは近年,選挙区割りについての研究が発展している。とりわけジョンストン,パティー,ドーリング,ロシター(Johnston, Pattie, Dorling & Rossiter, 2001)が提起した選挙区割りの分析の枠組みは画期的であった。この枠組みは国会や地方議会の選挙区割りに適用されている。このような研究の発展の背景にイギリス政治およびイギリス政治学の展開がある。現実の政治の側面で重要なのは,イギリス政治の多党化によって小選挙区制の不公平性についての認識が広まったことである。政治学の側面で重要なのは,イギリスの選挙研究に特徴的な選挙地理学の影響である。選挙区割りの研究の発展はイギリスの政治や政治学の現状を如実に反映しているわけである。このように,イギリスの選挙区割りの研究を理解することを通して,イギリス政治やイギリス政治学への理解を深めることができる。