著者
長尾 雄太
出版者
日本ヒューマンケア科学学会
雑誌
日本ヒューマンケア科学会誌 (ISSN:18826962)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-10, 2013 (Released:2022-05-20)
参考文献数
59
被引用文献数
1

本研究の目的は、看護における傾聴の概念が持つ特性を明らかにすることである。「傾聴」をタイトル、抄録に含む40文献をRodgersの手法を用いて概念分析を行い、属性、先行要件、帰結について検討した。その結果、傾聴の先行要件には、患者がストレスを抱えていること、看護師が傾聴の必要性を判断し環境を整えることが挙げられた。属性は、看護師が患者に共感し受容することであり、コミュニケーションの構成要素、ケアの基本として位置付けられていた。傾聴の帰結として、患者-看護師間の信頼関係構築により、患者の問題解決に向けた行動へと至ること、看護師は患者への理解が深まることで必要なケアの提供が可能となることが示された。さらに、看護師にとっては傾聴によりアイデンティティが強化される一方、患者の辛さや苦しさを傾聴することで、看護師が情緒的に巻き込まれる危険性があることが示唆された。