著者
片岡 修 長岡 拓也 Osamu Kataoka Takuya Nagaoka
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.69-88, 2015-03

今夏の調査に基づき、(1)確認したシャウテレウル王朝期の遺跡を検討し、(2)ナン・マドール遺跡の調査成果とユネスコ世界文化遺産登録申請の進捗状況を紹介し、(3)今後の課題を明確にした。 ナン・マドール遺跡に隣接するテムエン島内で、3種の祭祀遺構を確認した。テムエン島だけでなくポーンペイ島各地に築かれた同類の遺構との比較研究から、ナン・マドールを基盤にポーンペイ全島を統一したシャウテレウル王朝の支配構造を理解する上で重要な考古学資料となった。 ナン・マドール遺跡については、ユネスコ世界文化遺産登録のために実施した2011年の現状調査に始まり、その後、現地政府の関係機関、土地所有者、観光や環境や文化財関連の専門家らによるワークショップが開催されてきた。2015年2月の申請に向けて書類作成のための協同作業が進行中である。本調査の採集情報が申請書の基礎資料となることは確実である。