- 著者
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山田 星利奈
田村 賢太郎
長岡 貢秀
猪又 智実
川﨑 裕香子
牧本 優美
吉田 丈俊
- 出版者
- 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
- 雑誌
- 日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.2, pp.343-347, 2021 (Released:2021-09-06)
- 参考文献数
- 8
先天性皮膚カンジダ症(congenital cutaneous candidiasis:CCC)は,超早産児では血流感染をきたし重症化するが,late preterm以降の児では皮膚症状のみで軽快する例があり,治療の適応や方法は議論を要する.症例は在胎34週6日,体重2, 358g,経腟分娩で出生し,軽度の呼吸障害があった.出生時より全身に紅斑性丘疹がみられたが次第に消退した.日齢3から呼吸状態は悪化し,右上肺野に浸潤影が出現した.入院時の胃液・胎脂培養と母体の頸管培養からCandida albicansを検出し真菌感染症を疑った.臍帯は肉眼的に黄白色斑がみられた.皮疹部のKOH検鏡で仮性菌糸を確認しCCCと診断した.血液・尿培養は陰性で,菌が直接肺に伝播したカンジダ肺炎と判断した.抗真菌薬全身投与後より呼吸状態は改善した.出生時に皮疹があれば真菌感染症を鑑別すること,CCCと診断されればlate preterm以降の児でも治療を考慮することが重要である.