著者
長島 紀子 中山 泰一 野下浩平
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1581-1586, 1998-06-15

ゲーム木を探索する場合,異なる枝に同一局面が発生することが頻繁に起きる.この探索の重複を避けるため,局面表(ハッシュ表)に局面を登録し,計算結果を再利用するという手法がよく用いられる.ゲーム木の並列探索するときにも,上記のハッシュ表をプロセッサ間で共有できれば,異なるプロセッサ上で計算した結果が利用でき,計算時間の短縮が期待できる.本研究では,まず,分散メモリ型並列計算機(NEC Cenju?3)上に分散共有ハッシュ機構を設計・実現した.続いて,具体的なゲーム木探索問題としてオセロゲームの先手必勝後手必勝の決定問題を取り上げ,分散共有ハッシュ機構の評価実験を行った.実験の結果,たとえば7×5盤のオセロゲームでは,分散共有ハッシュ機構の導入により約30%計算時間が短縮されることが示された.