著者
長廣 真理子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.91-96, 2005-06-16

本研究は,4,5才児の子どもたちが集団ゲーム「オーケストラの指揮者」をどのように遊び,そして,その中でどのような知的側面の発達をとげていったかを明らかにしたものである。本研究の結果,「オーケストラの指揮者」における知的発達の内容には空間的思考,時間的思考,社会的思考の3つの知的側面の発達が関与していることが明らかになった。空間的思考は,指揮者では身体のどの部位からどの部位に動きを変えるか,鬼がどの方向に向いている時に動きを変えるかということがわかるようになること,また,鬼では子ども達が見ている方向に指揮者がいるということがわかるようになることに関係している。時間的思考は,指揮者の場合には,いつ動きを変えたらよいか,鬼の場合では指揮者は一番早く動きを変える人であることがわかること,子ではすばやく動きを変える人であることの理解に関係している。社会的思考は,指揮者や子が鬼は自分と対立する意図を持っていることや,指揮者と子は協力的な関係であることがわかることに関係している。本文に示された事例からも明らかなように,「オーケストラの指揮者」には,空間的,時間的,社会的思考の発達を促す多様な内容が含まれていることが明らかになったが,本研究の成果はまた,幼児の教育は「遊びを通して」行う幼児教育の本質に鑑みて,保育者が遊びの中で子どもがどのような知的関係づけをしているのかを知る手助けとなり,個々の子どもの発達課題に即した指導を行うための手がかりにすることができると考えられる。
著者
尾崎 恭子 加藤 泰彦 長廣 真理子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.69-77, 2005-06-16

『幼稚園教育要領』および『保育所保育指針』において,乳幼児期の遊びは重要な学習であり,遊びを通して総合的に指導する重要性が述べられている。しかし,子どもたちの発達を促すためには具体的にどのような言葉かけや手だてをすればよいのかについては,はっきりしないのが現状であり,実際の遊び場面における言葉かけと手だての内容を明らかにすることが重要である。そのような視点から,本研究は「物と関わる遊び」を取り上げ,カミイら(1985)の研究にもとづいて,その指導法を明らかにすることにした。本研究ではまず,理論的な観点から指導上の原則を明らかにし,さらに,遊びの導入場面,遊びの展開場面,遊びの終わりの場面にわけて具体的な言葉かけと手だてを示した。最後に,それらの具体的な指導法にもとづいて,5歳児のボーリング遊びにおける言葉かけと手だてを考察し,保育者の望ましい言葉かけと手だての内容をまとめた。