著者
長江 晃生
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.38, 2007-03

本研究は、第12回・リーグ男子大会予選ラウンド(8チームでの総当たり戦を4ラウンド実施)の内、堺BZチームを中心とした28試合107セット(延べ214セット)を対象にゲーム中のブロックとDigパフォーマンスを調査して、堺BZチームと各対戦チームを比較検討した。本研究の結果を以下のようにまとめた。1.堺BZのブロック参加率については、対戦チームのコンビ攻撃の特徴により変動し、対戦チーム毎に違ったブロック参加状況を示した。その理由としては、堺BZの守備戦術のシステムを対戦チームのコンビ攻撃の特徴に応じて変更して対応していることが考えられる。もうひとつは、外的要因としての対戦相手のコンビ攻撃使用頻度の違いが関係しているものと推察される。2.堺BZは、1位のSUNに比べブロック・Digパフォーマンスにおいて、やや下回っている傾向を示した。しかし、ブロックパフォーマンスにおいては下位チームのTYOとASAに比べて明らかに上回り、B-Dig成功率においても、下位のTOR、TYO、ASAを上回っていることが明らかとなった。その理由としては、堺BZがSUNの攻撃に対して多くのブロックで対応していたが、SUNのアタッカーの能力、打球スピードがVリーグの中でも優れていることから、ブロック・Digパフォーマンスにおいては良い結果に繋がらなかったと考えられる。下位チームとの対戦においては、ブロック参加率ではやや下回っていたが、プロッカーの高さや「読み」が優れ、1人のブロックの質が関係しているものと推察できる。3.B-Dig成功率はNB-Dig成功率よりも高い成功率を示し、その変動範囲がNB-Dig成功率より小さい傾向を示した。また、ブロック参加人数とブロックパフォーマンスの関係は、ブロック参加人数が多くなると、B返球率やB-接触率は漸増傾向を示す結果となった。このことから、Dig成功率を高め、安定させるためには、ブロックでワンタッチを取得することが必要である。すなわち、ブロックとDigの関係性を検証した結果を得た。