著者
長沢 純夫
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.27-31, 1957-03-30
被引用文献数
2

高槻系マイマイガの幼虫期における脱皮回数を, 温度25℃, 関係湿度89%の環境条件下で, 個体別飼育の方法によりケヤキの葉をあたえてしらべた。高槻系マイマイガの雌は, 幼虫期において6または7回, 雄は5または6回の脱皮をくりかえした。これはさきにGoldschmidtによって報告された結果より, 1あるいは2回多いが, 高槻系がとくにそうした脱皮回数の多い系統であるかどうかはさらに本邦各地の系統についてしらべた上でなければわからない。頭蓋の脱皮殼について, 令期間における成長様相を検討し, いづれも第3令と4令の間をさかいにして, おおむねふたつの異った直線関係をしめすことをしった。幼虫の発育過程において, このあたりにひとつの生理的な変曲点があるものと考えられよう。頭幅の瀕度分布曲線は, 3令まではいずれも大体同じ位置にあって, 頭幅による令期の決定は可能であるが, 4令以後は重複部を生じ, 頭幅の測定結果よりする令期の決定は不可能となってくる。