著者
長澤 俊彦 高梨 朝子 簑島 忍
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.1822-1827, 1996-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2

血管炎症候群のなかで,とくにChurg-Strauss症候群,顕微鏡的PN,悪性関節リウマチの活動期に多発性単神経炎が起こりやすい. vasa nervorumに生じた壊死性血管炎により急性,亜急性の軸索変性が起こることが主な原因である.急性期にステロイド薬を中心とする免疫抑制療法を強力に行うと,寛解することがあるが,治療開始が遅れると病変は非可逆性で,基礎疾患である血管炎が寛解した後に運動感覚障害が残り, ADL (activities of daily living), QOL (quality of life)が低下する.この場合には,粘り強いリハビリを中心とする治療を続けることが大切である.