著者
長田 美穂 杉山 真理 小林 茂雄
出版者
日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会誌 (ISSN:03710580)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.T193-T199, 1992-11-25 (Released:2009-10-27)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1 8

目的刺激対象を見慣れれば, その刺激対象に好感を抱くようになるという単純接触の効果が, 服装の印象の場合についても成り立つかどうかを検討することを目的とする.成果新奇な服装図版を刺激対象とした実験を通して, 「親しみやすい―親しみにくい」, 「好きな―嫌いな」の尺度には, 刺激の1回呈示条件ないし10回呈示条件よりも20回呈示条件において好感度が高くなり, 単純接触の効果が現われた.しかしながら, 「感じのよい―感じのわるい」の尺度には, 単純接触の効果は現われなかった.これらのことから服装の場合, 呈示回数が少なくとも10回を超えて20回近くになれば, 単純接触の効果がはっきりと現われることが明らかになった.このように, ただ単に何回も目にするだけで服装に対する好感度が高まってくることは, 服装の流行の採用動機の一つとして, 単純接触の効果が関与していることが考えられる.