著者
長谷川 尋之
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.38, 2007-03

本研究では、濃度の異なるショ糖溶液を用いて、運動時の自発的飲用量と生理状態についてラットを用いて検討した。4週齢のSD系雄ラット30匹を用い、溶液に含まれるショ糖濃度の違いによって2%、4%あるいは8%の3群に分けた。運動当日には、全てのラットに走行速度30m/minで30分、4セットのトレッドミル走行をさせ、各セットの運動後10分間に水とそれぞれのショ糖溶液を2瓶選択法で飲用させた。運動前日には安静状態の測定をするために運動当日と同じ時間帯に飲用量の測定を行なった。運動当日のショ糖溶液の飲用量及び総飲用量は、2%群<4%群=8%群であり、運動前日に比べ全ての群で減少した。体重とヘマトクリット値は運動後に全ての群で低下した。血清グルコース濃度は運動後で運動前に比べ、2%群と4%群で有意に低下を示したが8%群では変化しなかった。組織グリコーゲン量はヒラメ筋では8%群で2%群より有意に高値で、肝臓では群間に差はないがショ糖濃度に比例していた。血清ナトリウム濃度、組織重量、組織水分量及び直腸温は群間で差はなかった。以上の結果より、本研究の条件下では十分な水分補給ができていないことが推察され、脱水予防のために運動中から十分な水分補給を促すための方法を検討する必要性が示された。また、糖質補給ではスポーツドリンクを希釈して使用するのは望ましくなく、むしろ高濃度の糖質を含むスポーツドリンクが血糖値の低下を防ぐことに有効であることが示唆された。