- 著者
-
長野 嘉介
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.133, no.2, pp.87-90, 2009 (Released:2009-02-13)
- 参考文献数
- 8
呼吸器は,空気から酸素を取り入れ血液から二酸化炭素を放出するガス交換を行うための器官である.空気中に存在す化学物質は呼吸を通して体内に入るため,呼吸器はこれらの化学物質に最初に接触しその影響を最も受けやすい器官である.このため,大気汚染物質による健康障害では呼吸器が標的器官となることが多い.医薬品の分野では,吸入以外の経路でも抗癌剤等による薬剤性肺障害の報告があり,本誌でも詳しい総説がある(1).また,近年は経鼻投与など経気道的に投与する薬剤の実用化が進んでおり,医薬品の開発に際して鼻腔などの気道を含む呼吸器への直接的な接触による副作用が課題になってきている.本稿では,鼻腔等の気道を中心として,呼吸器の構造と機能,呼吸器毒性の検査法,薬剤等による呼吸器毒性について概説する.