- 著者
-
門家 千穂
氏家 寛
和気 洋介
岡久 祐子
黒田 重利
- 出版者
- 医学書院
- 雑誌
- 精神医学 (ISSN:04881281)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.2, pp.187-190, 2004-02-15
はじめに
DiGeorge 症候群,軟口蓋心臓顔貌症候群(velo-cardio-facial syndrome),円錐動脈幹異常顔貌症候群(conotruncal anomaly face syndrome)は症状に共通点の多い疾患であるが,これらはすべて22番染色体長腕11領域の微小欠失を持つことから,最近は22q11.2欠失症候群と呼ばれることも多くなってきている。22q11.2欠失症候群は元々小児科領域の疾患であったが,近年,本症の成人例では高率に統合失調症様症状を呈するという報告が相次いでおり,その罹患危険率は一般集団の約25倍とされる7)。一方,統合失調症の2%に22q11.2の微小欠失が認められ,これは一般集団の80倍である4)。本邦では22q11.2欠失症候群で統合失調症様症状を呈した例の報告は調べたかぎりでは7例3,5,8)しかなく,その臨床像の特徴の描出にはさらなる症例の蓄積が必要である。今回,我々は統合失調症様症状を呈した22q11.2欠失症候群の1例を経験し,その臨床像と治療反応性において若干の知見を見いだしたので報告する。