著者
門脇 則光
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.301-307, 2020-02-10 (Released:2021-02-10)
参考文献数
10

造血器腫瘍には免疫細胞がアクセスしやすいことから,固形がんに比べ,免疫療法が効きやすいと期待でき,実際,Hodgkinリンパ腫に対する抗PD-1(programmed cell death 1)抗体療法やB細胞性腫瘍に対する抗CD19 CAR(chimeric antigen receptor) T細胞療法ならびに二重特異性抗体療法が顕著な効果をあげている.今後早い治療ラインでの適用,さまざまな併用療法,輸注T細胞の改良,新たなワクチン療法ならびに細胞内抗原の標的化といった多様な側面からの開発を進めることによって,有効性が向上すると共に骨髄系腫瘍にも適応が拡大され,造血器腫瘍治療における免疫療法の重要性がさらに増すことが期待できる.