著者
康 允碩 松田 宗明 河野 公栄 閔 丙允 脇本 忠明
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-10, 1999-03-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
38
被引用文献数
1 1

韓国内で入手した, 市販魚試料の分析の結果, 各化合物の濃度レベルはDDTs>PCBs>HCHs>HCB>PCDFs>PCDDsの順であった。そして魚類から検出された各化合物の濃度は魚類の脂肪含有量と有意な相関性を示した。すなわち, 全般に脂肪量が多いサバとタチウオの濃度がイシモチとタラのそれより高い傾向を示した。市販魚類のPCDDs/DFsの各同族体の組成は低塩素のPCDDs/DFsのほうがより多く検出されており, とくに総PCDDs/DFs-TEQ濃度に対する2, 3, 4, 7, 8-PeCDFの寄与率は42%と計算された。このことから韓国人において食品としての魚類は2, 3, 4, 7, 8-PeCDFのような低塩素のPCDDs/DFsの主な供給源の一つであると判断した。韓国人の魚介類の摂取量は欧米諸国とくらべ比較的多いため, 魚類を通じてこれらの有機塩素系化合物が多く摂取されていると予想されたが, 意外に有機塩素系農薬やPCBsの摂取量は他の国と比べ, 類似するレベルであった。しかし, PCDDs/DFsの場合は, 日本を除いた諸外国のレベルと比べ高いことが確認できた。以上のことから韓国人にとって魚類の摂取はPCDDs/DFsの供給源として主要な割合を占めていることが判断された。