著者
関口 悠
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.50-56, 2019-02-01 (Released:2019-02-21)
参考文献数
25

接着に関連したバイオミメティクス( 生体模倣技術) の中でも,ヤモリの足裏に見られる接着性には可逆接合という特徴がある。ヤモリは分子間力を巧みに利用して,自らの体重を支えるのに十分な凝着力を獲得することに成功したが,凝着している足を簡単に剥がせるからこそ歩いたり走ったりすることができる。この剥がし易さのメカニズムを理解することは,ヤモリ型の可逆接合を実現する上で重要である。本論文では,ヤモリ足裏に見られる凝着現象の脱離メカニズムに着目した。足裏構造を簡易化した凝着モデルを用いて凝着力の方向依存性について解析的に検討することで,構造上の特徴により異方性が発現していることを明らかにした。更に,ヤモリ足裏構造にインスピレーションされた凝着デバイスを作製し,凝着異方性を実験的に検証するとともに,応用を想定したマニピュレーションシステムの検討を行った。