- 著者
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関口 海良
堀 浩一
- 出版者
- 一般社団法人 人工知能学会
- 雑誌
- 人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
- 巻号頁・発行日
- pp.3H1OS25a03, 2018 (Released:2018-07-30)
AI倫理の重要性は近年益々大きく認識されているが,成果がAI技術の研究開発に取り入れられているとは言い難く,両者にはギャップが存在している.本研究では,AI技術者による倫理的な設計の実践を支援することを通じて,このギャップを解消することを課題として,有機的で動的なAI倫理ライブラリを実装し提供を開始した.ここで有機的とは,AI倫理ライブラリが異なるAI倫理間の複雑な関連を踏まえて支援することを意味する.また動的とは,AI倫理ライブラリがAI技術者とのインタラクションを通じて新しい文脈を考慮しながら支援することを意味する. 具体的には,AI倫理ライブラリは各AI倫理の構造の違いを明確にしたり,AI倫理の相互の意味的な距離を提示したり,また,AI技術の研究開発の延長線上に連続的にAI倫理を捉えられるようにシナリオパスを推薦する支援を行う. さらにAI倫理ライブラリによって,上記を通じてAI倫理の側もより実践的に再構築され得るものと期待される. 本論文では,倫理的な設計学を適用してAI倫理を扱う議論の枠組みを整理しながら,AI倫理ライブラリの概要と事例を紹介した上で,上記効果について評価を行う.