著者
阪上 由美 小西 かおる
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.20-28, 2017 (Released:2018-08-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2

目的:本研究の目的は,慢性期在宅療養者が潜在的ニーズを自覚するまでの訪問看護実践のプロセスを明らかにすることである.方法:修正版グラウンデッドセオリー(M-GTA)により,訪問看護師11人の半構造化面接データを分析した.結果・考察:結果として,24の概念,4サブカテゴリー,4カテゴリーが生成された.訪問看護師は【専門性を生かした基本的ニーズの充足】を行いながら,限られた時間のなかで〔「語り」の時空を創る〕実践を行っていた.そして,【在宅療養者の意向を重視して添う】かかわりや在宅療養者の【「生きる活力」の充填への実践】を行うといった≪在宅療養者の「生きる活力」を支える訪問看護実践≫を為すことで,次に〈今後の見通しを立てる〉〈背中を押す〉といった【潜在的ニーズを自覚させる実践】を行っていた.そして,訪問看護師による看護実践が,パターナリズムになっていないか,絶えず〈訪問看護実践のリフレクション〉を行っていた.結論:慢性期在宅療養者が潜在的ニーズを自覚するまでの訪問看護実践のプロセスは,≪在宅療養者の「生きる活力」を支える訪問看護実践≫を行いながら,在宅療養者が潜在的ニーズを自覚することができるよう,エンパワメント支援する実践であった.