著者
阿武 雄一 瀧川 晴夫 榎本 卓朗
出版者
松江市立病院
雑誌
松江市立病院医学雑誌 (ISSN:13430866)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.67-72, 2012 (Released:2019-07-22)
参考文献数
21

近年、定位的放射線外科療法の登場により、聴神経腫瘍の治療方針が変わってきている。しかし、大型の特に3 cm を越える聴神経腫瘍では、今もって外科的治療を要することが多い。その際に全摘と聴力温存の両立は困難である。聴神経腫瘍では、亜全摘すれば再発は少ないことや、再発に対しては定位的放射線外科療法による治療が可能であることから、全摘にこだわる必要性は低下している。今回、われわれは、聴力を温存するため、意図的に亜全摘にとどめた2 例につき報告し、若干の考察を加える。