著者
藤田 達男 阿比留 真吾 木下 正徳 松田 謙一郎 後藤 貴文
出版者
大分県農林水産研究指導センター
雑誌
大分県農林水産研究指導センター研究報告. Bulletin of Oita Prefectural Agriculture, Forestry and Fisheries Research Center (ISSN:21861021)
巻号頁・発行日
no.2, pp.4-10, 2012-03

黒毛和種雄牛12頭を用いて、哺育期に炭水化物を強化した代用乳および人工乳給与後、育成期を濃厚飼料給与区と乾草のみ給与区に分け、さらに肥育期には両区を畜舎内乾草給与区と放牧区の計4区に分けて約30ヵ月齢まで飼育した。7~23ヵ月齢の体重は、育成期に濃厚飼料を給与した区が有意に高く、育成期の濃厚飼料給与は発育に強く影響することが示唆された。枝肉格付け等級はA2:2頭、B2:4頭、B1:6頭であったが、育成期に濃厚飼料給与した区の方が枝肉重量、ロース芯面積、バラの厚さおよびBMSNoが高い傾向がみられ、育成期の濃厚飼料給与は発育と肉質の双方を高める効果が示唆された。部内職員を対象として食味試験した結果、予想以上に柔らかく、あっさりして美味しかったといった好意的な評価が多かった。経済性を試算した結果、育成期に濃厚飼料を多給し代謝的インプリンティングを誘導した後に放牧肥育を行う方法が最も収益性が高かった。