著者
内田 昌男 柴田 康行 大串 健一 阿波根 直一 干場 真弓
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.96, 2004 (Released:2007-02-23)

過去10万年にわたるグリーンランド氷床コアの解析によると、最終氷期の間に起こった数百年程度規模の突然かつ急激な大気中メタン濃度の上昇が、海底下のメタンハイドレートの急激な分解によるものであるとの仮説がある。本研究では、過去に生じた大規模な気候変動とメタンハイドレート崩壊の関連性を明らかにするため、現在メタンハイドレートが存在していることが明らかになっている下北半島沖で採取された柱状堆積物コアについて解析を行った。本研究では、堆積物試料に保存されている有孔虫化石・様々なバイオマーカーについて分析を行った。その結果、海底下からのメタン放出によると示唆される浮遊性および底生有孔虫の炭素同位体比の異常値が見つかった。さらに同層準からは、メタン酸化細菌由来のバイオマーカーの炭素安定同位体比の異常も発見された。最大のメタンシグナルは、最終氷河期の25600年前の温暖期に相当することがわかった。