著者
阿部 曜子
出版者
四国大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、グレアム・グリーンが、メディアに強い関心を持ち、メディアを戦略的に使ってきたことに注目し、その表象の在り方を考察するものである。グリーン研究の中では、周縁的な資料とされさほど論じられては来なかったが、グリーンは膨大な量の投書を新聞や雑誌に送り続け、また数多くの映画批評を書いてきた。時代的言説空間を視野に入れつつ、それらを分析・検証することにより、グリーンが大衆文化装置としてのメディアの力学を熟知し、それらを巧みに取り入れ自らの領域としていたことなどを明らかにする。