著者
両角 祐子 山下 穣 阿部 祐三 安川 俊之 竹田 まゆ 宇野 清博 佐藤 聡
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.219-225, 2009-04-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
33

本研究は,脈動ジェット水流式口腔洗浄器具を用いた歯肉縁上の洗浄が歯肉縁下に及ぼす影響を,歯周組織および歯肉縁下細菌叢の変化で検討した.全身疾患を有さない男性4名,女性4名を対象とし,手用歯ブラシとジェットチップ®を装着した口腔洗浄器具(ウォーターピック®ウルトラJET:WP-10-J,Water Pik,USA)を併用した場合と,手用歯ブラシのみの場合を比較検討した.口腔洗浄器具の使用は,1日1回就寝前,600mlの水道水にて行った.検査項目は,Plaque Index(以下,P1I),Plaque Control Record(以下,PCR),Gingival Index(以下,GI),Bleeding on Probing(以下,BOP),Probing Depth(以下,PD)とし,実験開始時と1,2週間後に測定を行った.細菌学的検索としては,Polymerase Chain Reaction法を用い,Porphyromonas gingivalisの検出を行った.結果,口腔洗浄器具を併用した場合,手用歯ブラシのみの場合と比較し,PCR,P1Iで2週間後に有意な減少を認めた.GI,BOPにおいても口腔洗浄器具を用いた場合のほうが改善がみられた.細菌学的検索では,口腔洗浄器具の併用において,P.gingivalisの検出部位が少なかった.以上の結果から,脈動ジェット水流式口腔洗浄器具を併用した場合,臨床的にプラークの抑制効果があることが示された.また,歯肉溝内の歯周病原細菌の抑制効果があることも示された.これらのことから,脈動ジェット水流式口腔洗浄器具を用いた歯肉縁上の洗浄の歯肉縁下に対する有効性が示された.