著者
藤井 英二郎 辰巳 修三 陣内 巌
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.273-279, 1979-08-25

常磐線沿線地域のマツ平地林16群落を調査し, 草本層構成種の積算優占度からGLEASONの類似度指数を求め, これをもとに因子分析し, 因子軸上に各群落を因子負荷量によって位置づけた結果, よく下刈りされた群落グループと下刈り放棄後遷移が進んだグループ, それらの中間にあるグループの三つに区分された。そして, 偏向遷移系列と正常遷移系列の2因子が推定された。3グループ間で優占度による生活型組成を比較すると休眠型でMMとM, 生育型でb, 散布型でD_4が遷移の進行につれて増加し, 逆に休眠型でCh, 生育型でt, 散布型でD_1が減少した。また生活型ごとに構成種の相対優占度-順位関係を3グループ間でくらべると, 遷移が進むにつれて生活型の構成種数は減るが優占度は増える建設型(休眠型でM, 生育型でb, 散布型でD_4が該当)と, 構成種数も優占度も減るが種数がより急激に減る衰退型I(生育型でtが該当), 優占度がより急激に減る衰退型II(休眠型でCh, 散布型でD_1が該当)とがみられた。
著者
藤井 英二郎 陣内 巌
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.76-82, 1979-03-25
被引用文献数
5

常磐線沿線地域のマツ平地林16群落を調査し, 草本層の種組成の類似性をJACCARDの共通係数で判断し, この共通係数行列をもとに直接バリマックス法で因子分析した結果, 下刈りによる偏向遷移系列と正常遷移系列の2因子が推定された。これら2因子軸上に各群落を因子負荷量によって位置づけた結果, よく下刈りされ遷移の退行を起こした群落グループA(このなかには上層のマツが高密な群落も含まれた)と下刈り強度の弱い, あるいは下刈りを放棄して数年を経た群落グループB, さらに下刈りを放棄して10年以上経た群落グループCとに区分された。A, B, Cの間で種数による生活型組成を比較するとA, B, Cの順, すなわち下刈りによって退行遷移した群落から下刈り放棄によって林床植生が発達するにつれて, 休眠型でMとG, 生育型でeと1,散布器官型でD_2が増加し, 逆に休眠型でChとH, 生育型でtとpr, 散布器官型でD_4が減少する傾向がみられた。