著者
陰山 大輔
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.7-14, 2014-11-14 (Released:2017-07-20)

地球上のほとんどの微生物は,栄養要求が複雑なため培養が困難だったり培養がほとんど不可能だったりする.分子生物学的技術の進歩により,人工培養せずに微生物の同定が可能になったことから,地球上に生息する微生物の多様性を明らかにするという,以前は不可能であった問題にも取り組めるようになってきた.このようなことから,多様な共生微生物を体内に住まわせている無脊椎動物にも興味が注がれている.ワラジムシ類は元々海洋に起源を持つが,多くの種(特にワラジムシ亜目)は陸上での生活に適応している.ほとんどの種が陸上で生活をする昆虫類に比べて,ワラジムシ類における共生微生物の研究はあまり十分にはなされていない.本稿では,ワラジムシの共生微生物について現在知られていることを紹介した.陸上への進出に共生微生物が関わったとする興味深い仮説もあり,今後の研究が期待される.