著者
陶山 計介
出版者
比較経済体制学会
雑誌
社会主義経済学会会報 (ISSN:18839789)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.18, pp.3-8, 1981-10-01 (Released:2009-12-03)

1960年代以降,現代社会主義企業管理において「効率」・「人格」・「民主主義」の3原理がクローズ・アップされてきたが,その達成状況は十分なものとはいえない。ソ連についてもとりわけ「人格」・「民主主義」の面での遅れが著しく,労働組織や企業管理における資本主義のもとでのそれとの「同質性」が指摘され,管理――被管理のヒエラルキー構造とそれにともなう「疎外」的状態が一定の妥当性をもって論じられている。ソ連の「管理科学」は企業管理をめぐるこのような状況と密接な関連をもちながら展開しており,とくに「総合的アプローチ」が近年強調されるなかで重視されるようになってきた「比較企業論」=現代ブルジョア管理論批判・現代資本主義企業管理批判における「批判」と「適用」の両論理のなかにその問題性が集約的にあらわされているといっても過言ではない。本報告ではこの点の解明の予備的作業として,Д.М.グビシアニの『ビジネスの社会学』(1962年)と『組織と管理』(1972年)を対比しながらそこにみられる比較企業論の基本論理を検討するものである。