著者
陶浪 貞彦 三浦 康夫 井手 齊
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, 1974-09-15

直径2 m, 先端深さGL-31 mのベノトグイの先端スライム処理に有機高分子凝集剤を用いたF-P工法の実例について紹介する。施工の要点はつぎのとおりである。掘削完了と同時にハンマーグラブを引き上げ, ホースを孔の底から引き上げながら凝集剤(アニオン系コーナンフロックSKH 5)を孔内水量に対し18 ppm散布し, ハンマーグラブでカクハンする。水中に浮遊する微粒子は10〜20分の間にフロック状となり沈殿するので孔底に水中ポンプを投入してフロックを排出する。ついでハンマーグラブにより底の粗粒分をさらい, 鉄筋をそう入してトレミー管でコンクリートを打設する。この方法ではフロックの生成および排出が完全に行なわれる必要があり, 泥水採取器で孔底の泥水を採取するほかポンプから吐出される泥水の状態をチェックする必要がある。直径2 mでは10 cm径の水中ポンプを10個所以上移動させてフロックを排出する必要があり, 今後大口径グイに適したポンプの開発が望まれる。直径2 m, 深さ10 mの試験施工の結果孔底に幾分かのフロックが残存したが実用上は支障のない成果が得られた。