- 著者
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隈 健一
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 気象集誌 (ISSN:00261165)
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.2, pp.147-172, 1994-04-25
- 被引用文献数
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5
気象庁現業全球モデルの高水平分解能(T63、T159)水惑星版を時間積分した。どちらの分解能でも、40日周期のマッデン-ジュリアン振動(M-J振動)が出現した。波数1スケールの構造は両者ともほとんど同一であったが、振幅はT159の方が2倍の大きさであった。下層の収束域の東側では、赤道域で湿潤対流が見られ、西側では赤道から離れた熱帯域で湿潤対流が見られる。水蒸気収支解析によると、M-J振動の構造維持には地表付近の摩擦収束の効果が重要である。T-159モデルでは、クラウドクラスターの集団(スーパークラウドクラスター)のふるまいが中沢(1988)の解析に類似している。しかし、M-J振動とスーパークラウドクラスターのスケールは分離できなかった。M-J振動の熱帯低気圧発生に及ほす影響も調べた。振動の赤道下層収束域付近およびその西側近傍で多くの熱帯低気圧の発生が見られた。これらの低気圧は東西方向に長い対称ロスビー波の構造の生成に寄与している。