著者
雍 婧
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.178, pp.170-184, 2021-04-25 (Released:2023-04-26)
参考文献数
23

本稿は,ノンネイティブ日本語教師(以下,NNT)認知研究の動向を分析し,今後のNNT認知研究の方向性を考察したものである。本調査では,オンライン学術文献データベースによる検索で抽出された1991年から2020年までの81本の研究論文を対象とし,年代別・地域別・研究課題の3つの観点から分析した。分析の結果,NNTを対象とする教師認知研究の論文は,社会の多様化が進み,教師の自己研修や成長に注目が集まったことを背景に,2010年代に急増していることが確認された。また,2010年までは東アジアを対象とした論文が多いが,2011年に入ると東南アジアに注目した研究が急増している。さらに,計量テキスト分析で研究課題が確認され,日本語教育学研究の関心領域の多様化及び,多文化共生社会におけるNNTの葛藤への関心により,NNT認知の変容プロセスへの注目度が高まっていることが明らかになった。