著者
滝川 正晃 合屋 雅彦 池ノ内 孝 清水 悠輝 雨宮 未来 鎌田 龍明 西村 卓郎 田尾 進 宮﨑 晋介 笹野 哲郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.36-43, 2023-04-04 (Released:2023-04-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1

心房細動アブレーションに関連する心房頻拍(AT)は,しばしばマクロリエントリーを機序とし,とりわけ,肺静脈,僧帽弁輪,三尖弁輪を解剖学的障壁として旋回する.それゆえ,解剖学的障壁間の線状焼灼は,これらのATを治療する上で不可欠である.Differential pacingを用いたブロックラインの確認は,心房粗動に対する,三尖弁-下大静脈間峡部の線状焼灼の完成度を評価する方法として報告されたが,他の線状焼灼の完成の有無の確認にも応用される.しかしながら,高解像度のマッピングで,Differential pacingではブロックラインの完成を20~30%で誤診してしまう可能性が報告されている.オムニポーラー技術を用いると,3つの単極電極と直行する2つの双極電極からなるクリックという単位において,360°の心内電位から最適な電位を選択し,Activation Vectorとしてリアルタイムに表示することが可能である.今回本機能を用いて,線状焼灼の完成をリアルタイムに評価するのに成功した1例を経験したので報告する.