著者
雪村 八一郎
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.123-130, 1984
被引用文献数
2

未治療の甲状腺機能亢進症患者19名を4群にわけた。対照群には, メチマゾール, プロプラノロールによる治療を行い, 他の3群には, それぞれ灸甘草湯, 柴胡加竜骨牡蠣湯, 桂枝加竜骨牡蠣湯エキス剤の併用を行った。灸甘草湯を併用した群では, 治療初期には血中サイロキシンの, 治療全経過を通じては血中トリイオドサイロニンの下降率が, 対照群に比し有意に増大していた。このことから, 灸甘草湯は, 血中甲状腺ホルモン値を下降させることにより, 甲状腺機能亢進症の治療上有効であることが示唆された。