著者
雪野 まり
出版者
日本出版学会
雑誌
出版研究 (ISSN:03853659)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.45-65, 2008-03-20 (Released:2019-03-31)
参考文献数
45

1948年に創刊された生活雑誌『暮しの手帖』は,広告に依存しない雑誌作りを行ってきたことで知られている.広告のない誌面は,自律的ジャーナリズム志向の証とみなされ,創刊の契機も,しばしば政治的な信念に求められてきた.だが,編集長花森安治が追求したことは,商品の美学であり,同時に雑誌の美学であった.本稿では,広告のない誌面はその結果として生み出されたことを第一世紀『暮しの手帖』の内容分析により明らかにする.