著者
青塚 徹
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.32-41, 2003-04-20
被引用文献数
1

刺激等価性研究においては、例えば、まず被験者に対し、見本刺激Aに対し比較刺激B、見本刺激Bに対し比較刺激Cを選択することを訓練する。この見本合わせ訓練の後、テストにおいて、Aに対してA、Bに対してB、Cに対してC(反射律)、Bに対してA、Cに対してB(対称律)、Aに対してC(推移律)を被験者が選択できた場合、刺激等価性が成立したとする。そして、等価クラス(すなわち、A・B・C)内の刺激間関係(例えば、A→C)を、自然言語における語とその指示対象の関係、また、語と語の関係のモデルとみなしてきた。さらに、刺激等価性と刺激般化を組み合わせた研究では、語が表す自然カテゴリーのモデルが示されてきた。また、等価クラス内の刺激間における刺激機能の転移について検討を行った研究では、例えば、語を通じた情動反応の転移のモデルが示されてきた。今後、これら般化と転移の研究パラダイムにより、自然言語の基礎的構造と機能をより明確にモデル化できる可能性が考えられる。