著者
青崎 有美
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.238-247, 2011-07-10 (Released:2011-09-01)
参考文献数
49
被引用文献数
1

目的:広く用いられているガラスファイバーポストについて,口腔内での機能を想定した接着耐久性試験を行い,接着耐久性のある最適な表面処理法を明らかにする.方法:表面処理なしと各種表面処理;シラン処理(機能性モノマーなし),有機溶媒+シラン処理(機能性モノマーなし),シラン処理(機能性モノマーあり),酸処理+シラン処理(機能性モノマーあり),酸処理+シラン処理を含むボンディング剤の 6処理について検討した.処理を行ったポストとデュアルキュア型支台築造用コンポジットレジンとの複合体試料を製作し,大気中・水中浸漬・繰り返し荷重負荷(水中)の3種類の実験条件について微小引張り試験を行い,接着強さの測定および破断様相を検討した.結果:未処理を含む 6種類の表面処理のうち,最も厳しい実験条件である水中での繰り返し荷重試験後に最も高い接着強さを示したのは,酸処理後に機能性モノマーを含んだシランカップリング剤で処理した条件であった.ただし,機能性モノマーを含まないシランカップリング剤であっても,有機溶媒による前処理を行うことによって,接着強さおよび耐久性は著しく向上した.結論:未処理を含む 6種類の表面処理条件のうち 4種類において,接着強さが向上した.そのうち最も適切な表面処理法は,酸処理後に機能性モノマーを含むシランカップリング剤で処理する方法であった.