著者
青木 勝一
出版者
一般社団法人 グローバルビジネス学会
雑誌
グローバルビジネスジャーナル (ISSN:24340111)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.1-12, 2021 (Released:2021-11-16)
参考文献数
25

政府は医療政策の「予防・健康づくり」の中でも,生活習慣病予防を重視し,「特定健康診査」と「特定保健指導」の実施率向上を行ってきたが,その実施率は目標を達成するに至っていない.本研究は,市町村の国民健康保険の特定健診・特定保健指導を対象に,市町村の予防・健康づくり施策がその実施率に与える影響を定量分析し,政策的含意を考察するものである.本研究の分析結果は以下の通りである. ①地域包括ケアシステムの推進が特定健診等の実施率に影響を与えており,その要因は地域のつながりの強さである. ②特定健診等へのインセンティブ付与や情報提供の効果は不明確であり,先行研究の理論を裏付けるものではない. ③がん検診や後発医薬品使用の促進,重複・多剤投与者に対する取り組みを通じた健康や健診全般の重要性の理解が,間接的に特定健診等の実施率向上に寄与している.