著者
梶 兼太郎 中田 託郎 青木 基樹 大岩 孝子 望月 健太朗 大鐘 崇志
出版者
静岡赤十字病院
雑誌
静岡赤十字病院研究報 = Journal of Japanese Red Cross Shizuoka Hospital (ISSN:09119833)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.28-31, 2014-12

アルコール性肝障害による極度の低血糖が原因と思われる心肺停止蘇生後,葉酸欠乏性貧血,痛風発作の既往がある60歳代男性.入院1週間前に腰痛が出現しほぼ寝たきりとなり,全身の振戦が出現したため当院に救急搬送され,腎盂腎炎に伴う敗血症性ショックが疑われ当科入院となった.血液・尿培養ともにKlebsiella pneumoniae(K. pneumoniae)が検出され,感受性のあるセフメタゾール投与にて治療を開始したが,発熱が遷延し,腰椎化膿性脊椎炎,腸腰筋膿瘍,肺膿瘍を併発したため,メロペネムを第18から44病日まで投与し,computedtomography(CT)で膿瘍の改善を認めた.本症例はK. pneumoniaeに感受性のあるセフメタゾールを投与したにもかかわらず,化膿性脊椎炎,腸腰筋膿瘍,肺膿瘍を合併し,治療に難渋した.糖尿病やアルコール中毒などの基礎疾患を伴うK. pneumoniaeの敗血症では,全身の多発膿瘍出現を考慮して治療方針を選択する必要がある.