著者
熱田 幸司 小林 純子 菊池 雅之 林 応典 安藤 崇史 宮部 理香 新谷 恒弘 中山 隆盛
出版者
静岡赤十字病院
雑誌
静岡赤十字病院研究報 = Journal of Japanese Red Cross Shizuoka Hospital (ISSN:09119833)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.24-29, 2020-12-01

経肛門的直腸異物は,性的嗜好などが原因で肛門から異物が挿入され,抜去不可能となったものである.治療は一般的に内視鏡や経肛門的摘出術が,第一選択とされるが,難渋する場合には開腹手術への移行が必要になる. 今回,われわれは摘出の際の器具を工夫することで経肛門的に摘出し得た巨大直腸異物を経験したので報告する.
著者
栗原 五美 加藤 雅枝 佐藤 美栄子 長濱 貴彦
出版者
静岡赤十字病院
雑誌
静岡赤十字病院研究報 = Journal of Japanese Red Cross Shizuoka Hospital (ISSN:09119833)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.61-65, 2004-12-01

症例は17歳女性.統合失調症の診断にて当院精神科に通院.自殺企図によリトリカブトを服用し,悪心・嘔吐を主訴に当院救急外来を受診した。来院時より心室性期外収縮の連発が見られ,心室細動に対して来院後6時間に合計33回の電気的除細動を行なって救命し得たので報告する。
著者
朝比奈 彩 黒山 祥文 小原澤 英之 今井 昇
出版者
静岡赤十字病院
雑誌
静岡赤十字病院研究報 = Journal of Japanese Red Cross Shizuoka Hospital (ISSN:09119833)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.47-51, 2020-12-01

2020年2月末,新型コロナウイルス検査の院内導入の指示があり,3月中旬に開始した.感染対策チームと連携し,検査部の詳細な感染対策指針を作成した.そして,検査部勉強会を開催し,新型コロナウイルスに対する正しい知識を身につけ,安全な労働環境を整備した.3月末,初めて陽性者を判定し,早期発見から迅速な対応につながったと感謝の言葉をいただいた.2020年10月現在,real time RT-PCR法,LAMP法,抗原定性検査を実施している.また,新型コロナウイルスがどのような影響を及ぼしたのか,臨床検査技師を対象にアンケートを実施した.新型コロナウイルスを取り巻く環境下での検査体制は大変だと感じている技師が過半数であったが,貢献していると実感した技師も同数おり,やりがいを感じられている.他にも,臨床検査技師の認知,感染対策・精度保証について,理解が深まったことは副産物であった今後の課題は,遺伝子検査に対応できる臨床検査技師の育成,外部精度管理,検査室の感染対策の継続などがある.柔軟に対応して,臨床支援を続けていきたい.
著者
梶 兼太郎 中田 託郎 青木 基樹 大岩 孝子 望月 健太朗 大鐘 崇志
出版者
静岡赤十字病院
雑誌
静岡赤十字病院研究報 = Journal of Japanese Red Cross Shizuoka Hospital (ISSN:09119833)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.28-31, 2014-12

アルコール性肝障害による極度の低血糖が原因と思われる心肺停止蘇生後,葉酸欠乏性貧血,痛風発作の既往がある60歳代男性.入院1週間前に腰痛が出現しほぼ寝たきりとなり,全身の振戦が出現したため当院に救急搬送され,腎盂腎炎に伴う敗血症性ショックが疑われ当科入院となった.血液・尿培養ともにKlebsiella pneumoniae(K. pneumoniae)が検出され,感受性のあるセフメタゾール投与にて治療を開始したが,発熱が遷延し,腰椎化膿性脊椎炎,腸腰筋膿瘍,肺膿瘍を併発したため,メロペネムを第18から44病日まで投与し,computedtomography(CT)で膿瘍の改善を認めた.本症例はK. pneumoniaeに感受性のあるセフメタゾールを投与したにもかかわらず,化膿性脊椎炎,腸腰筋膿瘍,肺膿瘍を合併し,治療に難渋した.糖尿病やアルコール中毒などの基礎疾患を伴うK. pneumoniaeの敗血症では,全身の多発膿瘍出現を考慮して治療方針を選択する必要がある.
著者
渡邊 薫 大河原 一郎 西田 光宏 西澤 和倫
出版者
静岡赤十字病院
雑誌
静岡赤十字病院研究報 = Journal of Japanese Red Cross Shizuoka Hospital (ISSN:09119833)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.53-58, 2013-12

症例は3歳8か月女児.両下肢を中心とした隆起を伴う紫斑がみられ,翌日には腹痛・嘔吐が出現しHenoch-schoenlein紫斑病が疑われ精査加療目的で当院小児科外来受診した.入院後よりステロイド点滴治療開始し症状は速やかに改善したが,ステロイド漸減にて症状が再出現した.血液凝固第XIII因子製剤や抗ロイコトリエン受容体拮抗薬を投与するも症状の改善と増悪を繰り返し,治療に難渋した.Henoch-schoenlein紫斑病の多彩な症状とその他の治療法について若干の文献的考察を加え報告する.