著者
宮崎 俊一 大坪 雅史 青木 央 澤谷 拓治
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.858-865, 1996-07-15
被引用文献数
1 5

種酢から酢酸菌を分離し,分離菌株の分類学的な検討を行うとともに,農産物を原料とした分離菌による発酵技術を検討した.<BR>(1) 種酢からの分離菌No. 1株は,グリセリンからのケトン体の生成能,Hoyer-Frateur培地でのアンモニウム塩の資化性はみられず,GC含量が53.8%であった.<BR>以上の結果からBergey's mannualによりNo. 1株はAcetobacter pasteurianusと推定された.<BR>(2) No. 1株によるマルメロ,リンゴ,ホワイトアスパラガス、カボチャを原料とした酢酸発酵の条件を検討した結果,リンゴとカボチャは搾汁液にエタノールのみを添加した試験区で発酵が進行した.<BR>(3) ホワイトアスパラガスは搾汁液のpH 6.8に調整後,窒素源として麦芽エキスを0.1%添加するか,あるいは搾汁液にクエン酸を0.2%添加することにより発酵が進行した.<BR>(4) マルメロ果汁に含まれるポリフェノール成分が酢酸発酵を阻害することから,ゼラチン処理によりポリフェノール成分を除去し,窒素源として酵母エキスを0.1%添加することにより発酵は進行した.