著者
太田 里美 菅野 紀明 青木 秀俊 二瓶 和喜 前田 喜晴 田辺 達三 杉江 三郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.280-287, 1980

左心および右心の弁の物性的要求条件,また生体弁,心血管補填graftとしての物性を検索するため,豚の大動脈弁,肺動脈弁,心膜,イヌの硬脳膜の新鮮組織およびBioprosthesis処理組織(0.2%GA,0.65%GA,1.3%DAS,98%Ethanol+DAS処理)の引張り強度,伸び率を測定した,また従来の生体弁処理法(4% Formalin,1%Betapropiolaction,70% Ethanol)の物性との比較も行つたその結果,新鮮大動脈弁に対する強度は肺動脈弁67%,心膜84%,硬脳膜52-72%,伸び率はおのおの134%,110~103%,114~86%であった.またBioprosthesis大動脈弁は強度は増すが,伸び率が低下してpliabilityに難のあること,Bioprosthesis肺動脈弁は左心弁への応用には疑問のあること,心膜では新鮮組織の右心の弁または補填材料としての利用は物性的に肯じられるが,Bioprothesisでは瘤形成の危険も考えられること,また従来の処理大動脈弁は物性的に弁破綻の可能性が大であり,Bioprosthesisとは物性的に有意の差のあることなどの知見をえた.