著者
面川 怜花 松浦 執
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.41-47, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

小学校2年生の4ヶ月にわたる道徳の授業で,教室にコミュニケーション・ロボットを交え,命とは何か,ロボットに命はあるのかについて児童が話し合い学習を重ねた。本研究の第1の目的は,道徳教育として,自他の命を認識し命のかけがえなさを理解することである。第2の目的は,知能機械との共生の観点で,自らの命のかけがえなさに立脚してロボットに生命性を見出し共感できるかを明らかにすることである。授業実践では次のような児童の変容が見られた。児童はロボットのコミュニケーション機能に着目するようになり,会話プログラミングの体験などを通じ,人の自律的な意識に着目できた。ロボットに命はあるのかという討論を通じて,生命の自己認知性と自己決定性への気づきが生まれた。さらに本実践を通じて,児童は,自らの生活感情に共感するロボットのあり方を描き出した。