著者
須原 三樹
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.191-208, 2011 (Released:2022-07-15)
参考文献数
26

地方公共団体の財政悪化に伴い運営予算の縮減が続き,指定管理者制度等の市場原理が導入される中で,公立美術館にも効率的な運営が求められている。本稿では,全国の都道府県立美術館に焦点を当て,計量経済学モデルを用いて施設運営の効率性を実証分析する。そして,美術館外部の要因(環境・行政要因)と,内部の要因(運営・事業要因)の両視点から技術的効率性の要因分析を行う。 確率的フロンティア生産関数の推定の結果,都道府県立美術館の運営には非効率性が存在することが統計的に有意に認められ,技術的効率値の平均値は0.64となった。技術的効率性の要因分析の結果,市街地から当該美術館までのアクセスの良さや,特別展や教育普及プログラムの充実,展覧会における共催展の割合が技術的効率性に有意に正の影響を与えることが示された。