- 著者
-
増田 佐和子
鶴岡 弘美
須川 愛弓
臼井 智子
- 出版者
- 一般社団法人 日本聴覚医学会
- 雑誌
- AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.1, pp.54-60, 2021-02-28 (Released:2021-03-20)
- 参考文献数
- 15
要旨: 自動 ABR による新生児聴覚スクリーニング (NHS) で一側リファーとなり両側難聴と診断した19例を検討した。5例に難聴の家族歴を認め, 7例は複数回のスクリーニングで両側リファーとなったことがあった。パス側で判明した難聴の程度は軽度7例, 中等度11例, 高度1例, 聴力型は水平型9例, 低音障害型4例, 高音漸傾型3例, 高音急墜型2例, 不明1例であり, リファー側とパス側の難聴の程度は17例で, 聴力型は13例で一致した。パス側の偽陰性の理由は, 11例が境界域の聴力レベル, 6例が高音域の閾値が正常範囲内の聴力型, 1例が進行性難聴によると推定され, 1例は不明であった。18例が補聴器の適応とされたが4例は装用を拒否または受診を中断した。一側リファー例でも慎重に対応し, 難聴の家族歴をもつ場合, 複数回のスクリーニングで両側リファーがあった場合, リファー側が軽・中等度難聴や特殊な聴力型である場合などは特に注意すべきであると考えられた。