- 著者
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須田 芳彦
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.5, pp.335-341, 1993-05-31
- 被引用文献数
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気温の年々変動に着目して,大雨特性が気温の高低によってどう変わるかを調べるために,暖候期(5〜10月)の平均気温に基づいて地点ごとに温暖年・寒冷年を10年ずつ抽出し,それぞれ10年分のデータから暖候期における総降水量,降水日数,日・時間・10分間単位の確率降水量を求めた.ここでは,推定誤差の小さい確率降水量を得るために標本数の多い日別値データを用いた.温暖年と寒冷年における暖候期の平均気温の差は地点平均で1.1℃であり,ほとんどの地点で総降水量と降水日数は温暖年により少なくなっている.大雨を「総降水量に対する相対量」で定義するならば,大雨の度数は温暖年により多くなっている.確率降水量が寒冷年より温暖年に多い地点は,時間スケールが短くなるにしたがって増えており,これは,温暖年における大雨の特徴として,より短時間の大雨,すなわち「強雨」が多いことを示している.また,北陸地方で温暖年の確率降水量がより多く,南西諸島,四国南部から関東南部までの太平洋惻地域で寒冷年の確率降水量がより多いという地域的特徴が認められた.