著者
木村 太朗 岡部 俊孝 飛鳥井 邑 斎藤 惇平 嶋津 英 大山 祐司 井川 渉 小野 盛夫 木戸 岳彦 荏原 誠太郎 磯村 直栄 落合 正彦
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.85-89, 2020-01-15 (Released:2021-03-07)
参考文献数
11

症例は43歳,男性.2017年5月末より食思不振,両側下腿浮腫を自覚していた.その後38℃台の発熱を認め,同時期より下腿浮腫増悪,右下肢疼痛が出現し体動困難となり救急外来を受診した.右下肢蜂窩織炎を契機に増悪した高血圧性心疾患を基礎病態とした心不全として心不全治療とampicillin-sulbactam(ABPC/SBT)による治療を開始し,心不全,皮膚所見は改善したがCRP高値で遷延した.経過中に突然の左半身脱力を認めたため施行した頭部MRIで急性多発性脳梗塞を認めた.血液培養は陰性であり,複数回の経胸壁心臓超音波検査,経食道心臓超音波検査でも疣贅や新規の弁膜症など感染性心内膜炎として有意な所見は認められなかった.経過から感染性心内膜炎を疑い,fluorine-18 fluorodeoxyglucose positron emission tomography(18F-FDG PET/CT)を施行したところ,心臓内の僧帽弁と考えられる部位に異常集積を認めたため感染性心内膜炎に準じて加療した.ABPC/SBTに加えgentamicin,ceftriaxioneの投与を開始,歯科治療も施行したところ炎症の低下を認めた.治療効果判定に18F-FDG PET/CTを施行し治療以前に認められた異常集積の消失を確認した. 18F-FDG PET/CTが診断および治療効果判定に有用であった血液培養陰性の自己弁感染性心内膜炎の1例を経験したため報告する.