著者
飯塚 三男 船山 悦郎
出版者
林業試験場
雑誌
林業試験場研究報告 (ISSN:00824720)
巻号頁・発行日
no.331, pp.p147-154,図1枚, 1984-12
被引用文献数
1

キリはてんぐ巣病にかかると,生長が著しく影響され,幼木では枯死することもあるが,罹病による生長減退の程度については,あまり報告されていない。本報告では,罹病すると病状の進行が早く,被害が大きくなりやすい若木を使い,比較的発病しやすい断幹や根切り処理を行い,発病したものと健全なものとの生長比較を行った。材料は3年生のウスバギリ,P. elongataに断幹,1年生のニホンギリ,チョウセンギリ,ラクダギリに根切りと断幹を行って床替えした。幼時の生長がすばらしいウスバギリでは,罹病によって著しい生長減退が起こり,健全木と比べると樹高は42%,材積は7%にすぎなかった。P. elongataでは,樹高は67%,材積は20%ほどであった。一方,断幹と根切りを同時に行ったニホンギリの罹病木は,健全木と比べると樹高は60%,材積は17%,チョウセンギリでは樹高が52%,材積は10%,ラクダギリでは樹高は20%,材積は1%以下であった。いずれの処理区,種類でも,罹病木の着葉量,葉面積,直径は健全木より劣っていた。なかでもラクダギリの被害は著しく,罹病木のほとんどが枯れた。